☆SUKI SAKE☆
「ごめんなさい。それは出来ない。あたしにとってこの指輪は大切な宝物なの。これをくれた人はあたしにとってかけがえのない大好きな人なの。だから・・・」



「人を散々傷つけておいて自分の幸せは壊したくないなんて虫がよくないかな?僕は葛西さんのせいで女の子とうまく話せなくて嫌われるようになったのに自分は彼氏と幸せなんていくらなんでもふざけるなって話だよね。ねえ、葛西さん。人を傷つけて自分だけ幸せになる人間は・・・地獄に落ちるよ」



蔑むような視線が痛い。苦しい。助けて、あたしを助けて。外したくない、外したくなんてない。



「・・・助けてほしい?じゃあ条件を出してあげる。葛西さんは今日から僕のキスフレね」



大丈夫、見たくないならちゃんと隠してあげるから。動けなくなったあたしの視界がまた暗くなってそっと唇に熱いものが触れる。



そうだ、見えなければいい。矢野だと思えばいい。矢野とキスしてる。



そう思ってキスをするだけで許されるのなら指輪を外すよりはずっといいんだ。
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