☆SUKI SAKE☆
嘘と言う名の大きな爆弾
大丈夫だよ、雫。普通にしていたら気づかれるはずがない。いつもよりきつく制服のリボンを結ぶ。


胸元には矢野にもらった指輪。さすがに指に嵌めるわけにもいかないからチェーンに通した。


肌身離さず持っていたい。
この指輪があれば大丈夫。


「行ってきまーす」


お弁当も持った。愛用の自転車はボディがオレンジで気に入ってる。実は矢野と色違いでびっくりした。矢野は黒。


まあ同じ自転車屋さんで通学用のオススメの自転車を買えば同じになるか。それでも最初は嫌だったんだ。


なんであんたと一緒なの!!とやたらめったらとグチグチ言ったっけ。懐かしい。矢野は最初、すごく素っ気なかったし、今では考えられないくらいの問題児だったんだよね。

まああの時は気が張ってたみたいで今の優しい矢野が普通なんだけど。


自転車のスタンドを思い切り蹴ってサドルに座る。カラカラと回る音と共にペダルを踏み出した。


矢野のことが好きだからあたしはそれを守るために栗原くんとキスをした。そして、今日もする。


だからそれを気づかれたくない。
矢野にだけは気づかれたくない。
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