夜香花
「ふ~む、やっぱりな。逃れた者は、皆同じ党の者か? そこまではわからんか?」

 首を捻る清五郎に、捨吉はまた、力なく首を振った。

「はい。逃れた者がどの党の誰なのかまでは。でも、主立った党でないと、自然滅びましょう。落ちた者らは焼き討ちの後和睦が成って助命されたらしいですが、そんなこと、それなりの地位の者しかできません。下っ端は、そういう庇護下にないと生き延びるのは難しいかと」

 捨吉が言ったとき、不意にぱちぱちと乾いた音がした。
 驚いて視線を動かせば、真砂が手を叩いている。

「やるじゃないか。よく考えたな」

 低い真砂の声に、捨吉も羽月も、口を開けたまま固まった。
 これといった収穫なく帰ってきたのだ。
 それでなくても、真砂が人を褒めることなどあり得ないのに。

「……真砂?」

 清五郎も、怪訝な表情で振り返る。

「褒めるようなことか? 結局何がわかったわけでもないぞ」

 真砂に褒められて、感極まっている捨吉と羽月を、清五郎はばっさりと斬り捨てる。
 が、真砂はもたれていた木から身を起こすと清五郎の横に立った。

「それなりのでかい党でないと、助命申請もままならない、か。そうだな、ま、言ったことはこなせてないが、良いところに気づいた。つまり、『深成』の党も滅んでいる、ということだな」

「は、はいっ! お、俺たちが調べた限りでは、そんな名前の党は、ありませんでした」

 不必要に声を張り、捨吉が答える。
< 81 / 544 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop