たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「私達の席、後ろで良かったね」
「そうだな」
その後すぐに館内が暗くなった。館内での注意事項や新作の映画の予告などが映像にうつし出された。タバコを吸う人や撮影する人は今までみたことがない。後ろに座っている子どもが蹴ってきたり、他人がずっと話したりしているということはたまにあるので本当に迷惑。守るべき事はきちんと守ってほしい。そういうことを考えながら小さく頷いていると、横に座っている支樹は首を傾げた。
映画の内容は高校生のラブストーリーで一つ年の差があって、はじめはあまり互いのことを意識していなかったけれど、図書室をよく利用するため、次第に話すようになり、一緒に行動をするようになる。二人の距離は縮まっていって、やがて恋人同士になって、人を好きになるということを知る。
「映画、良かったね」
「本当にそう思っているか?」
支樹は疑いの目でこちらを見た。理由は分かっている。他の人達は泣いていたが、私は泣いていなかったから。周りの人たちは鞄からハンカチを出して目元を押さえながら泣いていた。正直にいうと、ほんの少し、泣きそうになっていた。
「そうだな」
その後すぐに館内が暗くなった。館内での注意事項や新作の映画の予告などが映像にうつし出された。タバコを吸う人や撮影する人は今までみたことがない。後ろに座っている子どもが蹴ってきたり、他人がずっと話したりしているということはたまにあるので本当に迷惑。守るべき事はきちんと守ってほしい。そういうことを考えながら小さく頷いていると、横に座っている支樹は首を傾げた。
映画の内容は高校生のラブストーリーで一つ年の差があって、はじめはあまり互いのことを意識していなかったけれど、図書室をよく利用するため、次第に話すようになり、一緒に行動をするようになる。二人の距離は縮まっていって、やがて恋人同士になって、人を好きになるということを知る。
「映画、良かったね」
「本当にそう思っているか?」
支樹は疑いの目でこちらを見た。理由は分かっている。他の人達は泣いていたが、私は泣いていなかったから。周りの人たちは鞄からハンカチを出して目元を押さえながら泣いていた。正直にいうと、ほんの少し、泣きそうになっていた。