たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 私はメニューを元の位置に戻した。

「映画館に来たの、半年前くらいだから、久しぶりに感じた」
「そっか、今日誘って良かった」
「うん。嬉しかった」

 友達とか誠一とかと行かないのか質問され、買い物くらいだと言った。

「俺はときどきカラオケに行ったりするな」
「お兄ちゃんと一緒に?」
「誠一と他の友達と一緒に歌いに行く」

 そんなことを話していると、注文したものが運ばれてきた。湯気がたっていて、とても美味しそう。

「いただきます」
「いただきます」

 目の前の料理を食べながら考える。
 店によるけれど、量が多いと、半分くらい食べたところでおなかがきつくなってくる。また、量がそんなに多くない場合、ぺろりと食べることができて、どこか物足りない気がする。デザートでもと思うが、頼んだら今度は苦しくなる。なので、食べると、すぐに店を出てしまう。
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