goldscull・不完全な完全犯罪Ⅲ
 木暮の兄貴は介護ヘルパーとして勤務しながら、ロックグループで成功する夢をみていた人だった。
でもヘルパーの収入だけでは機材など買えない。
そんな時に彼女と出会ったらしい。


《俺はロックグループのボーカルだった。

売れない時代から支えてくれた彼女が、俺の好みのちょいっとロングなチェーンを探してくれたんだ。

しかも、ゴールドスカル付き。

こんなカッコいいペンダントヘッドなんてそうざらにあるもんじゃない。》




 俺の頭にあのゴールドスカルの記憶がよみがえっていた。


(――売れない時代から支えてくれた彼女か?

――えっ!?)

次の瞬間俺は震え上がっていた。


(――ボンドー原っぱと同じか!?)

俺は更に……
あのゴールドスカルの意識を思い出してみた。


《『新曲アピールするライブなら、もっとファンサービスしなくちゃ』

彼女にそう言われてさっきこの頭にして来た。

――今まで金髪だったからきっとみんな驚くぞ。》

木暮の兄貴はそう思っていたはずだ。

でも俺は引っ掛かった。


(――スキンヘッドなら、何の障害物が無い!!)

急に脳裏に閃いた。




 俺は忘れていたあるものを思い出した。

ゴールドスカルに封じ込めてあった木暮敦士の更なる記憶を。
本当は思い出したくはなかったのに。


――俺は思いだした。


エレベーターの中に帽子を目深にかぶったソイツがいたことを。


多分ソイツはエレベーターが閉まる前にゴールドスカルを掴み、そのまま移動させたんだ。

丈夫なチェーンが俺の頭を此処に落とした。――


(――そうだよ!!

――スキンヘッドなら、髪の毛が無いからチェーンを掴み易い!!

――えっっっ――!?)

俺は自分の導き出した答えに震え出していた。




 俺はその時思い出していた。
事務所を訪ねて来たもう一人のスキンヘッド男性の死に方を。


(――あっー、もしかしたらアイツも!?)

俺は震えて出した。


寒くもないのに歯が噛み合わない。
その異様な音は、俺の脳裏に恐怖心を植え付けた。

木暮は気を効かして、俺の到着前に部屋を暖房してくれていた。
だから仏間は暖かいはずだった。
それなのに……
俺は更にガタガタと震えていた。

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