【完】結婚からはじまる恋《1》
「…君…名前は?」



「え、あ」



神宮寺副社長は鏡を覗きこみ、乱れた髪を手櫛で整える。



私の顔を見ようとはしない。



「…麻生深幸です」




「…ふーん」



訊いても何の関心もない様子。



私たちはこのままずっと、すれ違ったままなのかな?



胸いっぱいに溢れる切ない想いが胸を締め付ける。
< 12 / 274 >

この作品をシェア

pagetop