ハロー、バイバイ!
「美紗ちゃん、こっちこっち!」
部長は入ってきた美紗に気付くと、
満面の笑みでおいでおいでをした。
(やられた…シミズめ!)
まるで売られた田舎娘のような心境になる。
とはいえ、部長は別に悪い人ではない。
恰幅が良くて、見ようによってはダンディで、薄い頭もセクシーに見えないこともない。
部長は上機嫌であれやこれや、美紗に話しかけてくる。
彼は、意外なことに、料理が結構好きだという。
それって素敵ですねえ、と美紗は感心してみせた。
「鍋なんか、俺が材料全部買ってきて、灰汁掬いから雑炊まで全部やるんだ。
ここでは、部下の手前、やらないけどね」
そういいながら、部長は美紗の皿に湯がいた肉や野菜を次々によそってくれた。
部長は美紗を褒めちぎった。
今日は無礼講だよ、と言って。
「美紗ちゃんは、いつも笑顔で可愛いし、素直だし、脚がきれいだし、真剣にパソコンやってる顔なんか本当、最高だね。
出先から戻ってきて、美紗ちゃんの顔見ると、俺、疲れてても元気出ちゃうんだよね」
部長はわはははは、と笑った。
調子を合わせてお義理で笑う部下達に、そっちの元気じゃねえよ、と誰も何も言ってないのに下ネタギャグを飛ばした。