ペテン死のオーケストラ
王は顔を真っ赤にして叫びます。

「サイネリアを呼べ!サイネリアの許しが先だ!」

マルメロは、その言葉に怒りを覚えます。

「王にとってサイネリアとは何なのです!?ご自分の意見で決められないのですか?サイネリアの犬ですわ!」

マルメロは王に対して、とんでもない発言をしてしまいます。
王は怒り狂い怒鳴りました。

「なんだと!?私が犬!?マルメロよ、口を慎め!サイネリアが願うから、お前に優しくしてやったのだ!勘違いをするな!お前の命は、私とサイネリアが握っているのだぞ!!」

マルメロは、言葉を失いました。
王の言葉は、恐ろしい真実を語っているからです。
王は怒りで我を忘れ怒鳴り続けます。

「もう、我慢の限界だ!サイネリアの願いを破ることになるが仕方あるまい!マルメロよ、帰れ!そして、二度と戻るな!!」

マルメロは顔が真っ赤になりました。
悔しくて、辛くて、悲しくて…、全ての感情が一気に押し寄せてきたのです。

マルメロは必死に訴えます。

「嫌です!私は戻ってきます!」

「駄目だ!お前の顔など見たくもない!消えろ!!」

「嫌です!私の夢のため!」

「黙れ!さっさと消えるのだ!」

マルメロは言葉が詰まりました。
母親に会えます。しかし、城から追放されてしまったのです。
マルメロは「冷静になれ!」と自分に言い聞かします。
そして、王に言いました。

「わかりました。消えましょう。ですが、私はサイネリアの友です。サイネリアの願いをまた破るのですか?」

「それは…!!」

「冷静に考えて下さい。サイネリアの友を感情に任せ切り離して、王に得があるのですか?」

「サイネリア…」

「私は戻ります。良いですね?」

王は何も言いません。
マルメロは、無言の王を見て苛立ちました。
しかし、冷静に言います。

「ありがとうございます。王の慈悲を頂けて嬉しく思います。さすがは王様!」

王は苦々しく言いました。

「わざとらしい奴め。まったく、サイネリアにしてもストケシアにしても…。マルメロを何故庇うのだ」

マルメロはストケシアの名前に反応しました。

「本当に王に言ってくれたのね」

マルメロは苛立ちがスーッと引いていきます。
王は言いました。

「三日やろう。三日後には戻れ。戻らなかった場合、お前を城へは入れん」

ギリギリの時間を期限にして、王は言いました。

「わかりました。では、行ってまいります」

マルメロは涼しげな顔で答え、部屋から出ていきました。
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