ペテン死のオーケストラ
「近づくと喧嘩になる。でも、離れたくない」
マートルは、もどかしくて仕方ありません。
マルメロは、もう赤ん坊ではなく立派な女性です。
頭では理解できるのですが、心が言う事を聞きません。
どんどん自分から離れていくマルメロに寂しさを感じる毎日を送っていました。
「辛いわ…」
ある夜、仕事でクタクタに疲れたマートルは家へと急いでいました。
「はぁ。毎日、毎日、何でこんなに辛いの」
マートルは涙を浮かべながら、自分の不幸を呪っています。
「家に帰ってもマルメロは冷たいし、私なんか消えてしまえば良いのに」
ため息をつき、家の扉を開けました。