ペテン死のオーケストラ

「お母様…。どうして?」

マルメロは、フラフラと歩いています。

「早く帰らないと…」

頭の中は母親の事でいっぱいです。

「どうしたら良い?」

マルメロは冷静さを失っています。

「王の許しが出ない…!王さえ、居なければ!」

苛立ちと焦りで無茶苦茶な考えばかり浮かびます。


「マルメロ様、大丈夫ですか?」

急に声をかけられ、マルメロは我に戻りました。
聞き覚えのある声です。

「顔色が悪いですよ。どうされました?」

マルメロが声のする方を見ると、ストケシアが心配そうな表情で立っていました。

「体調が悪いのなら医者を呼びましょうか?」

ストケシアは、真剣にマルメロを心配しています。
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