Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
「二人で行かせたときに襲われなかった保証はない。もっと最悪な状況になってたかもしれない。
ジルはまだ手がかりを掴んでるじゃねぇか。
そんなに自分を攻めるなって。
そんな事言ったら俺だって……」

ローグはそこまで言って言葉を詰まらせた。

ジルの肩から手を離し、目線を外す。

「俺だって…?
ってローグ?」

「俺が…、俺がもう少し早く村に戻ってきていれば、一緒について行ってやれてた。
そういう事になるだろ」

ジルはもっと胸の奥が打たれた気になった。

ローグは自分を責めようとしている。
離れて自分がいなかったことに責任を感じている。

イスナ国から戻り、休む間もなく駆けつけてくれたローグに、そんな思いをさせているなんて。

「違う。そんな、ローグは悪くなんかないわ」

「だったら、ジル。お前も自分を責めるのはやめてくれ」


しばしの沈黙の後、ローグの言葉にジルは静かに頷いた。

ローグの言う通りだ。
ここで責任を感じあっていても進まない。

私たちがしっかりしなければ。
ミシェルを救えるのは自分たちだけなのだから。


「それじゃ、行こうぜ」

ローグが歩き出すとジルも後に続いた。

目指すはとりあえず、そのロイという男の家だ。

何か知っていてくれればいいのだが。
いや、何か知っているに違いない。

根拠もない直感だが、何故だかジルはそう確信していた。

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