Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
言葉を交わさず進んでいく二人の行く手に高台が迫った。

小道は高台に沿って引かれており、このずっと先で緩やかに上って高台と合流しているようだ。

高台と言っても1mほどで、小ぶりな岩が積み重ねられていて乗り越えられない高さではない。

目指す家はこの向こうにあると思われる。


「ほら」

先に上ったローグが手を差し出した。

掴まれと言っているのだろうが、ジルはその手を掴むことなくローグに持っていたランタンを渡した。

そして、自力で高台に上る。
上った後、渡したランタンを再度受け取った。


ローグの顔を直視することができない。
先ほどの事を思い出して頬が染まったなんて見られたくない。

自分だけが変に意識していることを悟られたくなかった。


ローグはそんなジルの気持ちなど知る由もなしに先に進んでいる。

ジルも呼吸を整えて一歩踏み出した。

その時、何かが左足に引っかかった。

「きゃっ」

ガクンと体勢が崩れ、その場に膝をつく。

手から滑り落ちたランタンがカシャンと音を立てた。

「ジル。どうした?」

ローグが振り返ってこちらに戻ってきた。

どうやら何かに躓いてしまったらしい。

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