キズだらけのぼくらは
彼女の目も、廊下にいた人とそうは変わらない。
私はイヤになって本棚の古めかしい図鑑に目を向けた。
本のカバーは黄ばんでいて、出し入れのために少し破れもある。
とても綺麗と言えるものでなかった。
けれどその時、私は手をギュッと握られたの。
私のすぐ前には彼女の姿。
ちょっぴりはにかむようにして頬をほんのりピンク色に染め、ぱっちりしていた目は細められるのと同時に人の良さそうな垂れ目になる。
その人懐こい愛らしさに、私は女でありながら一瞬だけ胸が高鳴った。
「すごい嬉しい! クラスメイトにももたんがいたなんて、なんだか夢みたい! ブログじゃ顔見れなかったけど、すごいかわいい」
彼女はいまだ私の手を胸の前で握ったまま、瞳をキラキラと輝かせる。
一方私は、表情がどんどんかたまっていくばかり。
こんな美少女にそう言ってもらえるような人間じゃない。
「ちょっと、やめてよ」