キズだらけのぼくらは
私は、鬱陶しい黒髪で顔を少しでも覆いながら、周りを見渡してみた。
この席からは教室の状況が色々と見て取れる。
見えてくるのはもちろん、問題ばかりだけど。
一番目につくのは、私の大嫌いなあの女子のグループ。
「あっ、秋穂、そのブレスレット可愛い! それどうしたの?」
「あぁ、これね。この前パパに買ってもらったの。限定品だからもう買えないと思うよ」
教室のど真ん中の席に座り、すました顔をしている派手な女子。
腕にはピンク色のストーンが光るブレスレットをつけ、顔にはファンデーションが厚く塗りたくられている。
この女子がクラスの中でもトップに立っている一軍女子だ。
「え~、いいなぁ。秋穂のお父さん優しくて」
「羨ましいよぉ、秋穂~」
彼女の周りには4人の女子がいて、代わる代わる彼女をほめたたえる。