キズだらけのぼくらは


それが、こんなにも簡単に消されるなんて、あんまりだよ。

涙でぐちゃぐちゃになった顔を、きりなく手の甲で拭い続ける。

拭いても拭いても、涙があふれてくるんだ。

「桃香……」

すると、肩に優しい重みを感じた。

横を向けば結愛が同じように涙で顔を濡らして、私をなんとか見つめている。

私の胸は、結愛の光る頬を見て更に切なくなる。

「やっぱり許せない……。あんなことをすべてバラせる犯人なんて、ひとりしかいないよね?」

私はその涙に濡れる結愛の白い頬をぼんやりと見ながら、つぶやいた。

絶対に許すもんか。

そう決意してスマホを持つと、結愛の肩に手をついて立ち上がった。

「アキムしかいないでしょ? もう、絶対に引きずり出してやる」

強い風が吹き抜けて、私の前髪をなびかせた。

よく見えるようになった視界には、黙って私を見ているふたりがいる。

スマホを握る手に力が入る。


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