キズだらけのぼくらは


今日散々受けた好奇の眼差しが脳裏に次々とよみがえる。

なにかを囁く口元も、細められた目も、私を攻撃した。

あの時と同じように。

『もう、桃香は邪魔だよね』

遠い記憶のあの子が、頭の中で囁く。

私は目を閉じて歯を食いしばった。

でも、イヤな思い出ばかりが駆け巡る。

教室の隅でずっと俯いてぽつんと立っていた自分。

そして、一番怖かった思い出までもが瞼の裏に映る……。

紅く染まる紅葉の木々に空を閉ざされた場所で、泣きながら友達の名を呼び続けた自分。

たったひとりだった私……。

もうあの頃には戻りたくないの。

絶望することも、裏切られることも、もう二度と味わいたくはないんだよ。

だからひとりぼっちになることを選んで逃げてきたのに、あんまりだ。


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