キズだらけのぼくらは


本棚は私の拳が押しあてられているせいで、ギシギシと苦しげに呻いている。

手元を見れば、本棚の上にはうっすらと埃が積もっていた。

差しこむ夕日を受けて、埃はなにかの結晶みたいにチラチラと輝いている。

普段掃除機で吸ってしまうあれとは思えないくらい、綺麗にそこを埋め尽くしていた。

けれど、私の手があったところからは輝きが消え、小さな手の形がくっきりと浮かび上がっている。

私はそれを見るなり埃を一払いし、頼りない手の痕を消し去った。

そのあとには埃が乱暴に拭われた痕だけが残っている。

チラチラと光る結晶のような埃は、私の手元から半分以上姿を消した。

そうだ、アキムにとっては、私たちを陥れることなんて、この埃を払うくらい造作もないことなんだよ。

考えることもバカらしくなった私は、窓を背に置かれた椅子に勢いよく腰を下ろした。

前を見れば、ふたりがいる。

テーブルの片側には結愛がいて、テーブルに両肘をつき頭を抱えていた。


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