キズだらけのぼくらは
思いきり声を出して喉が痛い。
けれども、こんなヤツに負けないように鋭い視線をつきたてる。
犯人だって認めざるをえなくしてやる。
「あのサイトのこと、今なんて言った……?」
いつもと違う声色。ぐにゃりと握り締められる本。
イタズラに笑う余裕さはなくて、下を向いている顔は陰る。
なのに夕日が彼の片側の頬にだけ照りつけて、異様なまでに赤々と染まっている。
彼からは不気味さだけが漂い、私の体はかたくなって逃げることすらできなかった。
そんな時、手に載せた本をパンッと思いきり閉じる音が響いた。
数センチ上でした音は私の鼓膜を激しく叩く。
私は短く声をあげ、耳をおさえた。その音に怯えた肩が震える。
「あのサイトはな、そんな目的のために作られたんじゃない。どこかで笑ってる意地汚いヤツのために作ったんじゃない」
そんな中、頭上で低い声が響いた。
私はそっと耳から手を離すと、彼を見上げた。