キズだらけのぼくらは
そして私は、彼の顔を見てから数秒、ゆっくりと目を見開いた。
彼はどこかわからない遠くを見つめて前を向き、切なげに眉根を寄せていたのだ。
赤い光とは反対に肌は病的なまでに白く見え、細く繊細な睫毛の先は小刻みに動いている。
私はしがみつくように、自分の胸のブラウスを掴んだ。
ああ、また胸の奥がきつく締めつけられる。
だって、コイツの瞳がまた危うそうに煌めいているから。
これじゃ、雨が降っている放課後と同じ顔をしているじゃない……。
その瞳の奥にどんな想いがあるっていうの?
いくら見ようとしても、彼の想いがちっとも見えない。
「あのサイトの創始者は、そういう人間じゃねぇんだよ。俺は、全部知ってるわけじゃないけど……」
彼は表情を崩さぬまま、悔しさを噛み殺すように、やっと声を紡いでいた。
でも私はそれよりも、創始者という言葉に驚いていた。
彼があのサイトを始めた張本人ではなかったの?
衝撃で声も出ない。
ますます彼がわからなくなる。