キズだらけのぼくらは


無事、日誌を担任に渡し終え、私はまた1階の廊下を歩いている。

教室に荷物を取りに行かなくちゃだから。

私は暑さと疲れで身体がだるく、ゆっくり歩きながらグラウンドの方を横目で見た。

そこでは、白い練習着を着た野球部員たちが球拾いをしていた。

機敏に動く部員たちは、日がだいぶ傾いてきた空の下、せかされるように作業を進めている。

茶色いグラウンドの上に目立ち過ぎるほど点々と落ちている白球は、みるみるうちになくなった。

やがてマネージャーの女の子が元気よく手を振って合図すると、みんなが集まり挨拶をして全員がはけていった。

でも私はその光景よりも、レフト側の片隅に残っているたったひとつの白球が気になって仕方ない。

忘れ去られたように、仲間外れにされたように、ぽつんとそこにある。

なんだか切なくて、窓にはかすかに私の苦笑いが映っていた。

少しだけ……、ほんの少しだけれど、私の仲間のように見えたんだ。


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