キズだらけのぼくらは
そうしてたて続けに、反対の頬も力いっぱい叩きつけた。
私の手だって痛みでしびれる。
叩いた頬は赤くなり、委員長は鬼のような形相で私を睨みつけて離さなかった。
だけど、私も強く睨みかえす。
「そしてこれは、ひとりの女の子がいろんな想いをこめて創設したあのサイトを炎上させた分!」
じんじんとしびれがはしる手をおさえながら、潤む声で力強くぶつけた。
このことが、私は気に入らなかった。
「ネットでもリアルでも、酷いことをされれば人はキズを負う。そうやって、キズつけることしかできないなんて可哀想なんですよ。私よりも、ずっとずっと可哀想な人」
やっとそう言い終えると、委員長は一瞬大きく目を見開いて、そして静かに俯いた。
力を失ったように完全に項垂れて、なにも言わなくなった。
すると、私の頭に誰かの手が触れた。
その大きな手がぽんぽんと優しく撫でてくれる。
「もう行くぞ」
その声に横を向けば、少しなにかが吹っ切れたように優しい目をした本郷大翔が。