キズだらけのぼくらは


ふたりの吹き出し笑いが響く。

彼は腕で目尻まで拭っている。

「まったく、本当に失礼なヤツ~」

変なことばっかり言われているのに、私だっておかしくてたまらない。

目尻に涙を浮かべて、ケラケラと笑う。

ふたりの笑い声が響いている。

気づけば、ふたりの声が重なっている……。

私はピタリと笑い声を止めて、彼を見上げた。

それに気づいた彼も私を見下ろす。

ピタリと合う視線。

ビリリと電気がはしるみたいに私はかたまる。

心臓はドクンと暴れ出す。

胸の奥が恥ずかしさで縮みそうで、私の足は震えた。

なのに、また彼は大きな声を出して笑うんだ。

ケタケタと、クールな雰囲気なんてどこかに影をひそめて楽しそうに。


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