キズだらけのぼくらは


「なっ、なにがそんなにおかしいのよっ!?」

私は慌てて手をバタつかせて、きっと赤くなっているであろう顔を隠す。

「だってお前おかしいんだもん。しょうがねえだろ。見てて飽きねえわ」

彼はいまだに腹を抱えて笑い続けている。

笑いすぎて滲んだ涙が、オレンジ色にキラキラと煌めく。

「まったくアンタは~」

私はそう言いかえして、彼を軽くどつく。

そんなことをしても本当は、嬉しいんだ。

雨の日の彼よりも、今目の前でバカみたいに笑っているコイツの方がよっぽどいいじゃん……。

私はよく笑う彼を見ながら、微笑んでいた。

だけどその時、私のものではない着信音が聞こえてきた。

「ん? あ、俺か」

彼はズボンのポケットを探って、黒いスマホを取り出す。

「……母さんから?」

画面を覗き込んだ彼は、顔をしかめて呟いた。


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