キズだらけのぼくらは
床の上の車イスに乗っている海夏ちゃんをそのあたたかい腕で包んで、よしよしと頭を撫でている。
海夏ちゃんは泣きじゃくりだした。
子供みたいに声をあげて、涙は流しっぱなし。
「おいおい、もう子供じゃないんだから、そんなに泣くなよ、な?」
彼は困り笑いをしつつも、袖を手の平まで引きのばして、涙を拭ってやっている。
私は地べたに座ったまま、湿った地面に手をついてふたりを見上げている。
目尻に涙はたまっているのに、私はなぜか泣き笑い。
やっぱり、仲のいい兄妹だよ、今も。
しょうがねえなと言いながら腕を伸ばして涙を拭いている彼も、思いきり泣きじゃくれる海夏ちゃんも。
暗がりで唯一光る海夏ちゃんの頬を伝う涙を見て思う。
海夏ちゃんは、心の内側にそれだけの涙をため込んできたんだなって。
そんな心じゃ重たかったよね。
前なんてなにも見えなかったよね。
私も前なんて見えてなかった。すぐ見えるところに大切なものがあっても、気づけなかったもん……。