キズだらけのぼくらは


だけど、もう大丈夫だね、海夏ちゃんも、私たちも。

絶え間ない泣き声を聞きながら、私は上を向く。

どこを見ても月の姿がない空。

不安になるような暗い夜。

でも、月がなくても、光はある。

空にはたくさんの星がある。

ここから見える星は石ころみたいなものなのに、あんなにも輝いているんだよ。

キズだらけになってきた私たちも、そうかわらないって思うの。

星を見つめていれば、見えない線でつながれたペガスス座が見えてくる。

元気よく今にも駆けおりてきそうな、空のペガスス。

絆ってきっとああいうものなの。

見えないけれどつながっていて、一緒になって光っている。

その絆でつながってさえいれば、もう、はぐれることなんてない。

だから、私は不器用だけど、その絆の糸を強くしていきたいんだ。

今度こそちゃんと、間違えないように。


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