キズだらけのぼくらは


まるで彼らは、そんな世界に生きる役者みたい。

私じゃないけど、みんな立ち位置を作って、その立ち位置にふさわしい役を設定している。

傘を振りまわしている男子は、ひょうきん者のムードメーカーを。

女子の集団は、絵に描いたような友情あふれる仲良し組を。

相合傘のカップルは、誰もがうらやむ理想の恋人像を。

みんな、この小さな学校っていう場所で、自分をキャスティングして演じているの。

本当はひょうきんじゃなくても、仲良くなくても、相手より恋に恋をしていても。

そんなことをするのは、周りから一目置かれる存在になるためだったり、自分がいじめにあわないためにする対策だったりする。

でも、おままごとと変わらないよ。

演じているからって、演劇なんてものには程遠い。

彼らがしていることは、大人のきたないおままごと。

だから私はそれが嫌で、孤立するしかなかったの。

その遊びの中心に入らないようにするためには。


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