キズだらけのぼくらは


私は手を高く伸ばして、まるでその残像を掻き消すみたいに手を振ってみたけれど、いまだに漂っていた。

高く上げていた手を勢いよく下におろすと、私は机の向こう側の壁を右足でひと蹴りする。

なんだか、アキムみたい……。

ふらりとネットのどこかに出没しているところも、実態がはっきりしないのも、この残像にそっくり。

つかもうとしても、全然つかめない。

愉快に笑いながら、簡単に私をかわしていく。

私は眉をひそめながら瞼を閉じた。

アキムもこの残像も、私にとってはひどく邪魔な存在で、どうにも腹が立ってくる。

だって、初めてあのサイトにアクセスした日からもう5日。

毎日何回もこのサイトに通ったけど、なんの収穫もない。

ももたんブログなんて、適当なネタしかアップできていなく、随分と疎かになっている。

それに最近ろくに眠れていない。

いい加減、体も精神も、限界がきそう。

こんなの耐えられるものじゃない……。


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