キズだらけのぼくらは


飛び起きるように背もたれから身を起こす私。

出てこないなら、私がアキムを引きずり出せばいい。

私は迷うことなくチャットルームに入室した。

そしてすぐさま、キーを力強く弾くように文字を打ち込んでいく。

【アキム。でてきなさいよ。いるんでしょ?】

息を荒くしながら、私の書き込みの上にアキムが現れるのを待つ。

だけど、次の書き込みはソラだった。

【ももたん、また来てくれたんだぁ。アキムさんは来ないと思うから、一緒に話そう】

ソラの言葉は能天気だった。

私はここに、お仲間と慣れ合うために来たんじゃない。

そんな仲間私には不必要。

ただ、アキムっていう危険因子を取り除くために来たんだから。

だから私はソラの書き込みを無視してアキムへ更にこう呼びかけた。

【ねえ、正々堂々やりなさいよ。こんな風に他人の弱み握って翻弄させるのが楽しい? 最低な人間よね】


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