キズだらけのぼくらは
私はお風呂からあがると、また自分の部屋に戻った。
上下灰色のスウェットに身を包んだ私は、机の前の回転するイスに大きな音をたてて腰を下ろす。
そして同時に勢いをつけてイスを回転させた。
すると、私の目の前には自分の部屋の景色が勢いよく流れていった。
ブランド物のガーリーなワンピースをゴミのように押しこんだタンスの前の紙袋。
毒々しく見えてくる色とりどりのマニキュアの小瓶が並んだチェストの上。
ピンクだらけで目の奥を刺激するファッション誌がぎっしりと詰められた本棚。
まるで、遊園地のコーヒーカップに乗っているみたいだった。
作り上げられたメルヘンな世界を、無理矢理見せつけるだけのコーヒーカップ。
段々と失速しても、景色は歪み、色が混ざり合ったように見え、私は気持ちが悪くなった。
それが酔ったせいなのか、毒々しい世界を見せつけられたせいなのか、それはわからない。