優しい爪先立ちのしかた

返事をどうすべきか迷って、結局「いいえ」と言っただけ。

「じゃあ、進路の話に戻るけど。推薦は進める方向で良いのね?」

「えー…っと、それなんですけど、」

カナンがコロッケを継ぐと聞いてからずっと考えていたこと。

「やめるの?」

少し驚いたような顔をする式鯉に、更に言い難くなる。

「氷室さんの成績なら推薦でも行けるところは結構…」

「親にまだ、話してなくて」

「はい?」

「家に居る人には言ったんですけど、あの人なんていうかそういうことには疎いから、なんていうか…」

歯切れの悪い。

梢を頼りにしていないわけではない。両親にだって、言えば絶対に反対されない。



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