優しい爪先立ちのしかた
栄生が到着して、きちんと立つ。梢は助手席の扉を開けた。
「いいえ、積もる話もあるでしょうし」
にこ、と嘘くさい笑みに、栄生は首を傾げる。
「ヤキモチ?」
「はい?」
「梢、ヤキモチ妬いてるんだ」
ふふふ、と笑われた。梢は口を結んで、助手席に乗り込もうとした栄生を車と梢の間に挟んだ。
思いがけないその行動に、栄生はきょとんとした顔を見せる。
ぎゅ、と両頬を抓られた。
「いひゃい」
「生意気」
「ふぁい?」
「この小娘が」
がぶり、と栄生の唇は噛みつかれた。
頬が解放されて、栄生は少し赤くなりながらその頬を手で覆う。
「ば、ばかいぬ!」
「舌足らずな感じがとても可愛らしいです」
「子供扱いしないで!」