星の音 [2013]【短】
まだ不安げな彼女の前を歩き、本棚に囲まれている狭い店内を進む。
詩集を置いてある棚から一冊の本を取り出し、夜空の写真が表紙になっているそれを差し出した。
「はい」
「“星の音(ネ)”……?」
「きっと、あなたの心を元気にしてくれると思うわ」
そう言って笑うと、彼女の表情が明るくなった。
「これ、下さい!」
「はい」
会計を済ませ、紙袋に入れた“星の音”を手渡す。
「あの、お姉さんのお名前を訊いてもいいですか?」
彼女はそれを受け取りながら、遠慮がちにあたしを見た。
「星子よ」
「星子、さん……」
呟くようにあたしの名前を紡いだ彼女は、フワリと微笑んだ。
「また、来てもいいですか?」
「えぇ、もちろん。それを読んだら感想を聞かせてね」
「はい!きっと、素敵な感想を言えると思います!」
「え?」
「だって、お姉さんみたいな本だと思うから」
彼女は、ここに来て初めて満面の笑みを浮かべた。
詩集を置いてある棚から一冊の本を取り出し、夜空の写真が表紙になっているそれを差し出した。
「はい」
「“星の音(ネ)”……?」
「きっと、あなたの心を元気にしてくれると思うわ」
そう言って笑うと、彼女の表情が明るくなった。
「これ、下さい!」
「はい」
会計を済ませ、紙袋に入れた“星の音”を手渡す。
「あの、お姉さんのお名前を訊いてもいいですか?」
彼女はそれを受け取りながら、遠慮がちにあたしを見た。
「星子よ」
「星子、さん……」
呟くようにあたしの名前を紡いだ彼女は、フワリと微笑んだ。
「また、来てもいいですか?」
「えぇ、もちろん。それを読んだら感想を聞かせてね」
「はい!きっと、素敵な感想を言えると思います!」
「え?」
「だって、お姉さんみたいな本だと思うから」
彼女は、ここに来て初めて満面の笑みを浮かべた。