あなたと私のカネアイ
 ――ふと、軽い浮遊感と共に意識が引き戻される。
 ハッとして目を開けると、見慣れた天井が視界に入って安心した。
 瞼が重いのは昨日泣いたせいだろう。
 そうだ。昨日はドレスを決めに行って、実家に帰ってお父さんに腹を立てて飛び出してきちゃったんだった。それから円に泣きついて……
 うわ、わわわわわ!
 いろいろな記憶が蘇ってきて、私はベッドの上で悶えた。奮発して買った大きめのベッドの上で、右に左にと身体を転がす。
 そして、隣で一緒に寝ていたくーちゃん(特大のくまのぬいぐるみ)をぎゅうううっと抱きしめる。

「くーちゃん、どうしよう! 私、円に――」

 そこまで言って、今度はくーちゃんを抱きしめたまま左右に身体を振ってジタバタする。
 だって、私がここに寝てるってことは、円が運んでくれたってことだよね?
 それってくーちゃんと一緒に寝ていることがバレたってことだよね!? 更にこの部屋にたくさん飾っているテディベアコレクションも見られたってことだよ!

「うきゃあああああああ」

 二十四にもなって子供っぽいって思われたんじゃないかとか、実は毎日話しかけてることまで知られたんじゃないかとか、いろんな心配が駆け巡る。
 いや、話しかけてるところはまだ現場を押さえられていないから大丈夫なはずなんだけど、何せ昨日はソファで円と……ごにょごにょしたところまでしか覚えていないんだもん。
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