あなたと私のカネアイ

触れ合い(3)

 自分の名前は嫌いだ。
「愛を結ぶ」なんてことが上辺だけだということは、うちの両親を見ていれば明らかだったもの。
 お金がないのが愛(こども)のせいだと言い争い、娘には成長したら返すようにと言う。

 いつになったら十分なお金を稼げるようになるんだろう。
 いつになったら文句を言われずにお金を使えるようになるんだろう。
 
 私の価値は、一体何なんだろう。
 そればかり考えて生きてきた。
 でも……

「お金が欲しいならあげる」
「意地っ張りで可愛い」
「結愛――」

 円の中の私はお金じゃない。
 私の夫となった人は、結愛(わたし)を見てくれる……
< 109 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop