あなたと私のカネアイ
「くうぅぅ、あああああああ!」

 翌日のお昼休憩。
 バックヤードで円の作ってくれたお弁当を開いたら、仕事モードで平常心を保っていたはずの心が一瞬にして爆発した。
 私は頭を抱えて唸りつつテーブルに突っ伏す。

 あの後のことはよく覚えていない。
 漏れてしまう声が恥ずかしくて、手の甲を唇に押し当てて我慢しているうちに、なんとか終わった……という感じだ。
 最後まではしなかったのだが……上半身を攻略(?)され、解放された後に、円の……その……男性の生理現象的なものを見てしまった、くらいだろうか。いや、もちろん服越しにですけど!

 お風呂に入って、夢中で身体を洗ったのは覚えてる。
 でも、それは円の感触を消したかったというより……自分の肌に残るもどかしさ、身体の内側に燻った何かを拭いたかったから。
 私、変だ……

 ――胸を揉まれたときの変は感じたってことでしょ

 佳織の言葉が思い出され、ますます居たたまれなくなる。
 だって、その通りだ。
 初めての経験でもなんとなくわかる。あの、身体がむず痒くなるような、熱くなるような……うまく言葉で表現できない気持ちはきっとそういうことなのだろう。
 恥ずかしくて仕方ないのに、どこかで「もっと」と思ってしまった自分を否定できない。

 それって、私は円のことが好きってことなの?

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