あなたと私のカネアイ
「俺は結愛の条件を呑んだ。約束はちゃんと守るよ。お金はいくら使ってくれても構わないし、結愛のすることに干渉はしない」

 お金を信じてる。
 ブラックカードはまだ私の財布の中。
 私の部屋には鍵もかかって、バスルームやトイレまで私専用。
 私のわがままは叶えられた。

「愛を説く気もないし、結愛の嫌がることもしないって誓う。でも、俺は俺なりに結愛に近づく方法を考えてるから」

 夫となった男は愛を信じてる。
 私を愛すと言う。
 妻は夫のわがままを叶える?

「お金と愛の兼ね合いを、見ようか」

 クスッと笑った円さんを、私は呆然と見つめることしかできなかった。
 あぁ、私は人生で最大の選択ミスを――したかもしれない。
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