あなたと私のカネアイ

　＊　＊　＊

「じゃあ、流れはこんな感じかしらね。急な結婚だったけど、式まではまだ少し時間があるから、細かいことはまた今度。ドレス選びをしたいから、近いうちに円とお休み合わせてくれるかしら？」
「わかりました」

　翌日、円のご両親の家で早めの夕食をご馳走になり、結婚式までのスケジュールなどを確認した。
　円のご両親の知り合いにウェディングプランナーさんがいるらしく、かなりスムーズに話は進んでいると思う。ちなみに私の両親にはもう話は通してくれていたらしい。
　というか、結婚式の話題が出たときに私が「特に希望もないし、身内だけでやれば十分」と言ったから、うちのお母さんと円のお母さんがいろいろと世話を焼いてくれているのだ。
　つまり、新婦本人よりも母親たちの方が張り切っている。
　世間一般の女性はもっとこだわりがあるのかもしれないけど、あんな口約束みたいな儀式やったってやらなくたって変わらないと思う。婚姻届なんていう書類があったって、ふらっと他の異性についていく人間すらいるっていうのに。
　愛なんて、最初からどこにあるかもわからないようなものを、永遠というこれまたよくわからないタイムラインに乗せることに何の意味があるんだろう。
　そもそも、その愛を誓い合うためにもお金を掛けるじゃない。愛、愛って、お金がなければ愛を誓えてないっていうの。
　それに、本当は私と円の間に愛なんてないんだから、結婚式――愛を誓う――の意味もないんだけど。
　まぁ……ひとつ、興味があるといえばウエディングドレスかな。やっぱり綺麗なドレスを着て、メイクもきちんとして、お姫様みたいになれる瞬間って言うのは楽しみだ。
　そこは、私も一応女なんだなぁなんて思う。だから、自分の好きなドレスを選べれば、私は満足だ。