あなたと私のカネアイ
「そうだ、結愛ちゃん。浴衣だけど、隣の和室に置いてあるから。自分で着られるかしら?」

 広げていたカタログを片付けていると、お義母さんがそんなことを言い出して、私は首を傾げる。

「浴衣、ですか?」
「あら、お祭りに行くんでしょう?」

 お義母さんは、この近くの神社で今日お祭りがあること、円が私の浴衣を持ってきたことを教えてくれる。
 そんなの聞いてない……!

「結愛、支度……あれ? 片付けは母さんにしてもらいなよ」

 そこへ、ちゃっかり浴衣を着た円がやって来る。
 どこかへいなくなったと思ったら、こういうことだったの! 
 彼の笑顔が「もちろん、行くよね」って言ってる……
 チラリとお義母さんの様子を伺うと、こちらもにっこりして「いってらっしゃい」と言わんばかりの表情だ。

「先月、映画観てから一緒に出掛けてないし。夫婦として二回目のデートだよ、結愛」

 こんなのずるい。
 でも、円の実家で夫と出掛けるのが嫌だなんて言えない。
 私は渋々浴衣に着替え、円曰くお祭りデートとやらに行くことになってしまった。

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