本当はね…。

授業に出る気にもなれず、俺はある場所へと向かった。


「はぁ…。」
ここが1番落ち着く。
学園の端の方にある旧校舎。そこの非常階段が入学当初からの俺の予約済みスペースとなっていた。
風通しが良く心地良い空気が頬を撫でる。


『泣きそうじゃなかったか?』
カオルの声が鮮明に蘇る。
…なんで…泣きそうだったんだ?
そこまで生徒会を嫌がる理由があるのか?
『何か言いたそうだったよ?』
ユキの声までも鮮明に思い出される。
七瀬…お前は何を考えてるんだ?わかんねぇよ…。
頭の中がゴチャゴチャして、余計わからなくなる。

その時…。風が俺の前髪を揺らした。
しばらく切ってなかったせいか、ボサボサになった。
「そろそろ切んなきゃだよな……。」
ボサボサになった前髪を少し整える。そして、ふと思い出したのだ。
七瀬と出会ったきっかけを…。





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