本当はね…。
昼飯後、少しの休憩を挟んでから午後の勉強が始まった。
俺はまださっきの動揺が残っている。
まぁ…毎回勉強してないし、テストに対する支障はないんだが…。
気づけば俺の目線の先には七瀬が…。無意識のうちに目が追ってしまうのだ。
落ち着け、俺。たかが関節キスだろうが。七瀬本人が気にしてないんだし、もはやあれはノーカウントだろ。なのに、なんでこんなに動揺してんだよ。
どうしたんだ、俺。落ち着け、俺。
「舞尋?」
「っ‼‼‼は、はぁっ⁉なんだよ。」
不意に声をかけられて動揺が声に表れてしまう。相手はそばにいるミサキなのに、大きな声が出てしまった。
「いや、別に。なんか落ち着きないなぁと思って。さっきから七瀬のこと気にしすぎじゃない?」
「…ぐっ。」
バレてる…。
「多分気づいてるのは俺だけだとは思うけど。そこまで露骨だとそのうち他のやつにもバレるぞ?」
からかい半分、アドバイス半分のミサキ。やっぱりコイツには隠し事できねぇな。
ていうか、俺の気持ちもバレてんのか?
………ダメじゃね?これはバレちゃダメじゃね?
……。
ちょっと待て。本気で一回落ち着こう。
仮に、俺の気持ちにミサキが気づいているとしよう。コイツは自分から他のヤツに言いふらすことはしないだろう……。でも、嘘もつかない。普段は嘘の塊とでも言っていいレベルだが、こういう話題は真摯に扱う。誰かに尋ねられたらアウトだ。
そんでもって俺的にマークしとかなきゃいけないのがユキ。
あの様子だと、まだ伝えるまで進んでないとは思うが油断は出来ない。ユキが本気なったら大抵の女は落ちる。
問題はカオルなんだよな。七瀬の歓迎会をやってからあの二人の間に違和感がある。そう感じてるのは俺だけかもしれないけど。多分何かあったんだろう。よくわかんねぇけど。
まぁ、とりあえず現状ではまだよくわかんねぇってことだな。
冷静に考えてみたら、少し落ち着けた気がする。
本気勝負はこれからだ。
他のヤツに渡すつもりはサラサラねぇよ。