悪魔と天使
「……」


マルコの前には木の枝を立てて作った墓。


マルコはその前であぐらを掻き、祈祷をしていた。


「悪魔がお祈りか………奇妙だねぇ…」


「そうか?」


後ろでマリクは腕を組み立っている。


ガブリィはまだ気絶している。


「ああ、あんたのあの姿を見なければ天使か、人間にしか見えないさ」


「これでも悪魔さ。これでも……な」


祈祷を終え、立ち上がるマルコ。


右手だけはきつく握り締めているのはマリクどころか本人さえも気付いてはいない。


「お前はマリクだよな?」


頷くマリク。その顔は邪悪に満ちている。


「俺はあるところでは有名だったんだぜ?マーリク・ザ・リッパーって呼び名でよ」


「切り裂きマーリクか。知っている。『あの日』以来名前を聞いてないからまさかと思うが」


そう、『あの日』……俺は死んだ。と自嘲する。


「俺は二重人格でよ。『マリク』がストレスを溜めまくったとき、夜中に俺が出てくんだ。つまり、俺はストレス発散役ってなわけだ。元々は『俺』はもっと良い役だったけどな。あいつは『俺』を知っているから多分嫌気がさしたんだろうなぁ」


「そうか。俺は何も問わんぞ。神でもなければ神父でもないからな」


ヒャハ。と軽く笑い、マリクは木を背にし、座る。


「『俺』は寝る。戦闘以外では恐らく『俺』は出ない。そん時は『あいつ』を頼むぜ」


「ん………善処する」


マリクは寝息を立てて寝始めた。


マルコはゆっくりとガブリィと横に座る。


まだ悪夢を見ているのか、大玉の汗を掻いている。


「すまんな…………俺が夢魔だったら夢ん中でも助けてやるのに」


そういってガブリィの額に手を当てる。


「まだ……朝……か」


太陽はまだまだ昇ったばかりだった。
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