狂想×Holic
ピンクにゴールド
 


嫌いだ。嫌い。

あんたなんか、大嫌い。





――時刻は現在23時30分。

今日が終わるまであと30分。
テーブルの上にずらりと並んだご馳走は、もうとっくに冷めきっていて。

浮かれていた私の気持ちも、もうとっくに沈み込んでいた。


……それでもあの馬鹿は帰ってこない。



「……片付け、めんどくさ」

彼が食べたいと言っていたから、わざわざレシピまで調べて作った名前も知らない料理たち。

作っているときは、ちょっとだけ楽しかった。
初めてにしては結構上手に出来たから、絶対喜んでくれると思っていた。

今となってはただ重いだけの大皿を押し退け、私はぐったりとテーブルに俯せる。


やっぱりね。
こうなると思ってた。
私、わかってたんだから。

ちょっとでも期待した私が馬鹿だった。


……なんかもう、疲れた。


片付けは明日に回そうかな、なんて考えながら意識を手放そうとする頭に、ふと遠くから物音が響く。

顔を上げれば、ちょうど廊下からリビングに入ってきた彼と目が合った。


 
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