視線の先
「改めまして、月島俊史です。よろしく!」
ニカッと八重歯を出して笑う月島俊史。
男に免疫のない私は思わずドキッとしてしまった。
「鈴香…って呼んでいい?俺の事は俊史って呼んでよ。同じ学年なんだし、決まり」
共学だったら…こんな感じなのか。
すごいなぁ。
嬉しいけどちょっと恥ずかしい。
「鈴香、こっち!」
もうナチュラルに名前読ん呼んじゃってるし…。
私は俊史に連れられて、学校のあらゆる場所を回った。
「んー…校内はこんなとこかな!あとなんかみたいところとかある?」
一通り見終わった私たちは、昇降口にいた。
見たいところ…。
そう聞かれて、さっきから元気のいいかけ声の聞こえるグランドに視線が行く。
野球部…。
「…。あ!るい!」
その言葉にビクッとなる。
俊史がかけて行った方向。
野球部が練習しているグラウンド。
そこに立っている1人の男の人は、近寄らなくても誰かわかった。