カローナ姫の黒猫

ルイもそんなカローナを見て目を見開いていた。

そんな中、フッと不敵に微笑み、彼女に近づいてきたのは、ユージスだ。

「カローナ姫」

「え…?」

…!?!?

突如名前を呼ばれ、振り返った彼女の腕をユージスが引っ張る。

こ、こける!?

勢いそのまま倒れ込みそうになるカローナは反射的に目をつぶった。

その瞬間。

チュッ。

左頬に触れた柔らかい感触に驚いた彼女は、閉じていた瞳をパチッと開ける。

すると、目の前にはニヤリと微笑むユージスの顔があった。

今のってまさか…。

恐る恐るルイや参列者の方を振り返ると、皆、あ然とした表情でカローナとユージスを見つめている。

だ、誰か嘘だと言って。

シンと静まり返る会場内、楽しそうにしているのはユージスだけ。
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