カローナ姫の黒猫
…本当に、慌ただしい日だったわ。
そう考え、小さく肩を落としたカローナは、ベランダから見える綺麗な月を眺めた。
正直、ユージスが何を言おうとしているのが気になっている自分がいる。
ただ、あんな出来事があった後で迂闊に会いに行って大丈夫なのかと…不安を感じる部分もあった。
ルイに相談してみようかしら?
でも…。
『ルイに騙されている』
そんなことを言っていたユージスのことをなんと説明すればいいものか…。
ただでさえ、関係の悪そうな2人なのに。
「レインに相談してみる…?ロコちゃんは…流石に、ね」
まだこちらに来たばかりのカローナは知り合いが全然いないのだ。
やっぱり、ルイに…。
そう考えた瞬間、コンコンと部屋の扉を叩く音が響く。