カローナ姫の黒猫


魔女は、ようやく悟ったのです。


自分が実際はかなり、年をとり、さっき魔法をかけた王子様は…彼本人ではなく王子の子孫だろうということに。


『ごめんなさい…貴方には迷惑をかけてしまったわ』


魔女は、瞳からポロポロと涙を流しながら、目の前で倒れている猫の姿の王子に声をかけました。


そして、最後の力を振り絞り、ある呪文を唱えたのです。


『この魔法は、貴方が本当に愛する者と結ばれた時、解けるわ。だから、探しなさい。心の底から愛せる女性を…』


一言そう呟き、魔女は、そのまま息を引き取ったのでしたーー。


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