sweet milk【完】

「・・・いつも何かを

諦めてるように見えたよ」

「・・・・・・なに?それ」

瞬間、微かにぎくりとした。

「んー・・・

なんて言えばいいんだろ?

例えばさ、休憩の時とかに

みんなと笑って喋ってても、

黙々とダスター洗ってる時も、

傍から見てると楽しそうだし

一生懸命なんだけど

…なんか。

よくわからないけど

一人だなこの子って思った。

『好きで一人でいる』

じゃなくて

『どうしようもなくて

一人でいる』って気がした。



「えー・・・そんなの、

よくわかんないよ!」

そう言って私は笑った。

「俺も実は自分で言ってて

よくわかんない」

秋雄も笑い、そう言って

そこで話は終わった。


よく、わからなかった。

本当に。

それでも何かがその時に

わかったような気がした。

秋雄が私を求めた理由、

私が秋雄を求めた理由。

そんな事が、ほんの少しだけ。

わかったような気に

なっただけでも、

私はとてもうれしかった。

理由なんて意味なんて、

つかまえられるわけもないのに。 


恋をしていたから。

ただただ、うれしかった。
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