ハートフル・アーツ
31
4月30日


ロイヤルホテル




「で…何で私が一緒なのよ?」

シェリーが言う

「頼めるのがシェリーしかいなかったんだよ…


それにしても、同い年とは見えないくらい綺麗に着飾ってるな…」
幸大が言う

シェリーのその姿は一流のパーティーにいても何の違和感も産み出さないほどに華麗なモノだった


「そりゃあ、元の素材がいいんだから当たり前じゃない?」


「まぁ、確かにそうだな。」


「…。

冗談のつもりだったんだけど…」

シェリーが小さく呟く



「で…何で私なのよ?

事情は聞いたけど…なずなとかジニーにでも頼めば良いじゃない?」

シェリーが言う


「なずなは変に偽装すれば緊張し過ぎてボロがでるし、ジニーも演技はダメだしな。

あかねには別のことを頼んだし。」


「つまり、私が嘘つきの詐欺師としては最適だったってわけね?」


シェリーが言う


「いやいやいや…そうじゃないって。

結婚式はドレスコードだからドレスをうまく着こなせるシェリーじゃないと、って思ってな。」


「ふぅーん…

まぁ、あんたの礼服はオッサンくささが出てるんじゃない?」

シェリーが言う

「まぁ…高校生ってばれなきゃ問題ない。」


幸大は受付の近くに行き御祝儀袋と招待状をポケットから取り出した


「それと…シェリーを選んだ理由はもう1つ。

他の皆には内緒なんだが…」


「何よ?」


「俺の招待状で俺と同席するには俺の関係者である必要があるわけなんだが…」

「だから?

はっきり言いなさいよ?」



「…。

並んで歩くならシェリーが一番、俺の妻に見える。」

幸大が振り向き様に手を差し出す

「な!?


バカじゃないの!?



…将来的にはそうなる予定なんだからそう見えて当たり前じゃない…」


シェリーは顔を真っ赤にして幸大と手を繋ぎ会場に入った





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