ハートフル・アーツ
「うっ…!?」

シェリーが会場に入った途端に顔を歪めた


「どうした?」

「…なんか、息苦しいって言うか、体がうまく動かない感覚…」

シェリーが言う

「?

具合でも悪いのか?」

「わかんない…

ちょっと、冷や汗が止まらないかも…」

シェリーは額に汗を浮かべる



「小鷹!

こっち!!」

ヒバリが席から手招きしている


「歩けるか?」

「なんとか…」




幸大はバージンロード側の席に座る

その右にシェリー

シェリーの右にヒバリという順番で座る


「ヒバリ…シェリーが具合悪いみたいなんだけど…」


幸大が言う

「小鷹の友達?

悪いけどどうしようもないわよ?」

ヒバリが言う

「え?」



「最前列から5列目まで、私たちから見てバージンロードの右側は武人会のお偉いさんたち。

左側は全席結婚相手側のヤクザの構成員。



ヤクザはともかく…武人会のトップからしたっぱまでが集まってるんだもん…

その威圧感は私ですらこの位置までが限界だもん。」

ヒバリが苦笑する



「なんだ…そういうことか。」

幸大が強くシェリーの手を握る


「武神流我術・虎喰。」

幸大が呟く

グルルルルルル…

一瞬、虎の幻影がシェリーに重なる


「これでどうだ?」

「…。

かなり楽になったわ。

ありがと…。」

シェリーが言う







「ほぉ…

気迫に気圧された連れを助けるために己の気迫で包み込み達人クラスの気迫の束を押し返すとは…意外にも達人であったかな?

若いの…。」


幸大の真後ろから声がした
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